いつもご覧いただきありがとうございます。 本日は、私が最近の指導現場で直面し、強い危機感を覚えた「ある事実」についてお話ししたいと思います。
それは、「現在の中学生・高校生(特に2010年・2011年生まれ)の中に、分数の計算が抜け落ちてしまっている子が非常に多い」ということです。
先日、私が教えている同年代の生徒5名のうち、なんと4名が「分数の和と差(足し算と引き算)」を正しく計算できませんでした。掛け算や割り算はできても、通分が必要な足し算・引き算になると、ピタッと手が止まってしまうのです。
これは決して偶然ではありません。指導経験上、この年代の子どもたちには共通する「つまずきの原因」があると考えています。
なぜ「2010年・2011年生まれ」なのか?
彼らが分数の基礎、そして最もつまずきやすい「通分」や「約分」を習うのは、小学4年生から5年生にかけての時期です。
2010年生まれ、2011年生まれの子たちがこの時期(10歳前後)を迎えたのは、2020年〜2021年。お気づきでしょうか。まさに新型コロナウイルスによるパンデミックの真っ只中でした。
全国的な長期休校、分散登校、オンライン授業への急激な移行など、かつてない混乱の中で学習環境が大きく乱れた時期です。 分数の和と差は、算数の中でも理解と定着に時間がかかる、非常にハードルの高い単元です。本来であれば、学校で先生が手厚くフォローし、何度も反復練習をして身につけるべきこの時期の学習が大幅に滞ってしまったことが、現在の子どもたちの「分数アレルギー」を引き起こしている最大の要因だと私は推測しています。
分数ができないと、中高の学習で何が起こるか
「たかが分数で算数の一分野」と甘く見てはいけません。数学や理科において、分数の計算はすべての土台となる「言語」のようなものです。
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中学・高校数学: 方程式の解法、文字式の計算、確率、さらには高校での微積分やベクトルなど、あらゆる場面で分数は当たり前のように登場します。途中の計算で分数の処理ができないと、考え方は合っていても正解にたどり着けません。正解に辿り付けなければ勿論点数は低いままです。
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理科分野: 密度の計算、速さ、化学のモル計算、物理の公式など、理科の計算問題の多くは分数(比)の概念がベースになっています。理解出来なければ当然答えは合いません。
分数の和と差でつまずいている状態では、中高の数理科目で常に苦労することになります。頑張って勉強しているのに点数が伸びず、中学・高校で「理系科目は自分には無理だ」という深刻な苦手意識を植え付けてしまうのです。
今後、どうするべきか?
もし、お子様が分数の計算に不安を抱えているようであれば、「中学生(高校生)だから今さら小学校のドリルなんて…」というプライドは一旦横に置いてください。傷口が浅いうちに、勇気を持って小学校の算数(分数の足し算・引き算)までさかのぼって学習し直すことが、最も確実で最短の解決策です。
しかし、思春期のお子様が自ら「小学校の範囲からやり直す」と決断し、実行するのは難しいものです。だからこそ、親御さんの手助けが不可欠になります。
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現状を把握する: まずは簡単な分数の計算問題(通分が必要なもの)を解いてもらい、どこでつまずいているのかを怒らずに確認してください。
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基礎からのやり直しをサポートする: 「やり直すのは恥ずかしいことではない」と伝え、一緒に小学校のドリルに取り組むなどの後押しをしてあげてください。
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専門家に頼る: 親子間だとどうしても感情的になってしまう場合や、効果的な教え方がわからない場合は、我々のような理数系指導のプロに頼ることも有効な選択肢です。
コロナ禍という未曾有の事態が子どもたちの学習に与えた影響は、数年経った今になって形となって表れています。しかし、気づいた今からでも決して遅くはありません。正しいステップで遡り学習を行えば、必ず計算力は取り戻せます。
お子様の理数系への可能性を広げるためにも、ぜひ一度、ご家庭で「分数の計算力」を確認してみてはいかがでしょうか。

